世界で始めて貴金属として扱われ、装飾品に使われてきた金。その歴史はすでに紀元前にさかのぼるといいますから、何千年もの歴史を誇るのですね。歴史上最も有名だと思われるものは、ツタンカーメン王の黄金のマスクだと思いますが、これは紀元前1300年代に作られたものとされています。
しかし、最古の歴史にあるものでは、古代シュメール人が紀元前6000年頃、すでに金装飾を用いていたという話もあるくらいです。ここでは、そんな金と人類の長い歴史について話していきましょう。

ツタンカーメン王の話題を持ち出すまでもなく、エジプトは金とかかわりの深い国です。ファラオの時代から「金は高価で尊いものである」として珍重してきました。珍重するあまり、金は神が王に遣わしたものだとして、一般市民が金のかけらを持つことさえ禁じました。国民はたとえわずかでも、全てファラオに差し出すものと決められていたのです。
こうして集められた金が、王の金の棺やマスクにと加工されていきました。当時は砂金採りの手法で集められていたにもかかわらず、集められた金は莫大な量にのぼります。例を挙げるなら、ツタンカーメン王の眠る棺の金の使用量は110kg。もしも1グラムを2500円と計算した場合、2億7500万円という途方もないものでした。
インカ帝国という名前を聞いたことがあるでしょうか。アンデス山脈に居を構えた巨大な国家でした。その巨大な国家を支えていたのが、金の採掘です。しかし、豊富な金を求めるスペインによって攻めほろぼされてしまいます。その際にインカの王が自分の助命嘆願として差し出した金の価格は、今の価格にして数十億円と言われていますから、インカ帝国がどれほど豊かであったか想像がつくかと思います。
しかし、スペイン側は金を受け取りながらも王を許さず、さらに有名な太陽神殿やその他の寺院なども、全て奪いつくしてしまいました。スペインはその両手に持てるだけの金を奪いつくして去っていったのです。ただ、その莫大過ぎる量(一説に5トンとも)が一気にヨーロッパに流通したおかげで、インフレを引き起こし、スペインの国力を弱めることになってしまいました。もしかしたら、祖国をないがしろにされたインカ人の怒りだったのかもしれませんね。
基本的に、金というのはいつでも不足していて、希少性の高い金属です。なにしろ、金の埋蔵量は極端に少なく、1トンの金鉱石から3グラムも取れれば上出来という世界です。そこで、中世ヨーロッパでは他の金属から金を生み出す研究が盛んに行われました。これが有名な錬金術というものです。
残念ながら、金を作り出す事はできませんでしたが、錬金術から生まれたさまざまな技術が、現在の科学の始まりとなっているのです。錬金術については話したいことがたくさんあるので、他のページで詳しく紹介していきたいと思います。
ほかのページでも何回か話していますが、ゴールドラッシュというのは実はカリフォルニアだけのものではありません。ただ、このカリフォルニアのゴールドラッシュが最大規模であったために、普通はカリフォルニアのゴールドラッシュを指すのです。
さて、世界中から山師が集まったゴールドラッシュ。カリフォルニアのゴールドラッシュのピークが1849年なので、アメリカでは今でも一攫千金を狙う山師のことを49er(フォーティ・ナイナー)と呼ぶことがあります。しかし、実際のところは金を所有できたのは、ほんの一部の人だけで、残りの人は安い賃金で過酷な労働に耐えるしかありませんでした。資本主義の怖さというものでしょうか。
現在でも金の用途の大半は宝飾品、アクセサリーとしてです。しかし最先端のエレクトロニクス技術においても、金はなくてはならない素材です。この先、金の産出は頭打ちになることがほぼ確実なので、どうしても工業用にまわされる比率が増えてくることになると思います。そうなれば必然的に金のアクセサリーの価格は高騰していくでしょう。いまはちょっと奮発すれば買える金のアクセサリーも、近い未来にはおいそれと購入できなくなるのかも知れませんね。
ただ、海水や海底などから効率的に金を抽出できるようになれば、逆に身近な金属になるかもしれません。金は将来、それこそファラオ級のVIPしか持てないような貴重品になるか、随分と買いやすくなるか、どちらに転ぶか判りません。あなたはどっちだと思いますか?



